蔡英文総統は16日、蘇貞昌前行政院長(前首相)に「一等卿雲勲章」を授与し、台湾にとって最も大切な、且つ課題が山積しているタイミングで重責を担い、行政院長を引き受け、そして台湾を前進させてくれたことに感謝した。蘇貞昌院長もまた、蔡総統が自分に4年の歳月を与え、国家のために尽くす機会をくれたことに感謝した。
蘇貞昌氏は2019年から2023年までの1478日間にわたって行政院長を務めた。この期間はちょうど蔡英文総統の第1期政権と第2期政権を跨ぐこととなった。蔡総統は、2019年の最後の日、蘇貞昌氏と当時行政院副院長だった陳其邁氏が世界に先駆けて感染症対策の第一歩を講じたことを振り返り、「感染症の拡大は突然で急速だったが、行政チームが一丸となって取り組んだ結果、社会の安定を維持し、台湾を100年に一度の感染症から守ることができた」と述べた。
蔡総統はまた、同性婚を認める法案の表決が行われる前日、つまり「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」(5月17日)の前日、蘇貞昌氏が行政院協調会議で立法委員(国会議員)に対し、これは台湾の民主主義において歴史的な瞬間であり、それを左右する大切な一票であると呼びかけたことや、法案が可決されたあとは蘇貞昌氏が自ら動画を撮影し、社会との意思疎通を続けたことなどを振り返った。
蔡総統はこうしたことを踏まえて、蘇貞昌氏とその行政チームが台湾にとって大切な、且つ課題が山積しているタイミングで自ら進んで働き、政府と民間の力を結びつけ、国家の発展の基礎を築いたこと、台湾の民生、経済、福利の進歩を加速させ、より良い台湾を作るために邁進したことなどに感謝した。
これに対して蘇貞昌氏は、「幼いころに両親から受けた教育の影響で自分自身は勲章や贈り物などを重視してこなかったが、こうして蔡英文総統から勲章を受けることができるのはやはり光栄なことだ」と喜びをにじませた。
蘇貞昌氏はまた、蔡総統とはかつてライバルとして対立したこともあったため、行政院長を引き受けた当初は多くの人から「2週間もしないうちに二人はケンカになる」と言われたこと、それに対して蔡総統からは「ケンカをするのではなく、電話を掛けましょう」と言われたこと、総統府や官邸で仕事のことや心のうちなどを語り合ったことなどを明かし、二人は性格も育った環境も違うが、国が必要としているから足りない部分を互いに補い、助け合い、そして最大限の成績を残すことができたと振り返った。
蘇貞昌氏はさらに、蔡総統が自分に4年余りの歳月を与え、これまでに学んだことや経験したことを活かして台湾のために貢献する機会を与えてくれたこと、国の指導者という立場から、自分が進めるさまざまな政策を支持してくれたことなどに感謝した。
蘇貞昌氏は最後に、「台湾の人々は最多の票をもって二度の選挙で蔡英文氏を総統に選んだ。蔡英文総統がいたから台湾はより良くなり、台湾に住む人々の生活も改善した。蔡英文総統の8年間の任期はまもなく終わるが、その支持率は最も高く、各方面及び国際社会からも高い評価を得ている。蔡総統が国を導いてくれたことに感謝する。台湾にあなたがいてくれて本当に良かった」と蔡総統への謝意を示した。